レーザー照射後の炎症後色素沈着(PIH)の発生頻度はどのくらい??

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「レーザーでシミを消したい」と言わると、必ず説明が必要となる「炎症後の色素沈着」です。
Caucasianでは問題になりませんが、Asian、日本人では高率に発生するため、一過性であっても注意が必要かと思います。実際の頻度について、過去の論文をレーザータイプ別にいくつか挙げてみます。
Qスイッチアレキサンドライトレーザーによる日光黒子の治療(n=165)では、
炎症後色素沈着の出現率は施術1か月後で44%、3ヶ月後で11%、6ヶ月後には色素沈着は認めないという結果でした。
山田秀和, 傘木和子,熊本貴之,他:Qスイッチアレキサンドライトレーザーを用いた日光黒子に対する治療成績-特に炎症後色素沈着の改善の経緯-:Aesthetic Dermatology, 15 : 58-63, 2005.
一方、他のQスイッチレーザーはどうでしょうか?
Qスイッチルビーレーザー、半波長Qスイッチヤグレーザー(532-nm)による
老人性色素斑に対するレーザー照射後の炎症後色素沈着の発症について比較(n=158)では、
施術1か月後の評価では、Qスイッチルビーレーザー照射群では64%、半波長Qスイッチヤグレーザー照射群では47%に炎症後の色素沈着を認めています。
佐藤卓士,江藤ひとみ,小林よう,他:老人性色素斑に対するレーザー治療に伴う炎症後色素沈着の発症についての後ろ向き研究:Qスイッチルビーレーザーと半波長QスイッチNd:YAGレーザーの比較.日本レーザー医学会誌,37:24-29, 2016.
Qスイッチレーザーによるシミ治療の場合、いずれも施術後1ヶ月は高頻度にPIHが起きています。
ピコセカンドレーザー治療のほうがQスイッチレーザーに比較するとPIHの発生頻度が少ないであろうと報告する論文も見られますが、経過観察期間に差があったりします。
タイのドクターらが2018年に報告したナノセカンド532-nmレーザーとピコセカンド532-nmレーザーの日光黒子に対する比較では副作用については有意差なしという結果もあります。