ワキのレーザー脱毛で、汗が増えるというのは、ホント?

Image

医療レーザー脱毛を提供されているクリニックでは、患者さんから良く聞かれる質問の一つかと思いますが、文献的にはレーザー脱毛で汗の量が増えたというのが1報(トルコ、n=38)見られます。ロングパルスヤグレーザー脱毛のデータですが、平均8回施術後(10-mmスポット, フルエンス30–60J/cm2, パルス幅55–65ms)、汗の量が増えている結果(ヨードデンプン法)を示しています。一過性でなく最終施術から1年後でも汗の量が有意に増加している結果です。考察の部分で、レーザーの熱刺激によってエクリン腺が活発化した可能性、皮脂腺が縮んた影響でその分エクリン腺からの流れが良くなった可能性を示唆しています。組織所見はありません。

Aydin F et al. Axillary hair removal with 1064-nm Nd:YAG laser increases sweat production. Clin Exp Dermatol 2010;35:588–592.

一方で、同じロングパルスヤグレーザー脱毛により、局所多汗症の症状が改善したという報告(米国、n=6)もあります。5回または6回施術(12-mmスポット, フルエンス24–56J/cm2, パルス幅20ms)9ヶ月後において、照射側では未照射側に比べ汗の量が減少している結果(ヨードデンプン法)を示しています。汗の量が増えた例はありませんでした。組織所見では、汗腺の密度や構造に変化が見られておらず、レーザー照射に発生した熱より、抗コリン作用が得られるのではないかとの仮説を示唆しています。効果の持続性についてはこの研究では証明できないとの記述があります。

Letada PR et al. Treatment of focal axillary hyperhidrosis using a long-pulsed Nd:YAG 1064 nm laser at hair reduction settings. J Drugs Dermatol 2012;11(1):59-63.