レーザーのスポットサイズの大小は治療効果に影響するのか??

Image

皮膚のレーザー治療で一度は直面されると思われるのが、スポットサイズの違いが治療にどう影響するかという問題。ほとんどのパルス発振レーザーは、単位面積当たりのジュール数(フルエンス)で表示されており、スポットサイズの大きさにかかわらず、フルエンスが同じであれば皮膚表面でのレーザーの強さは同じなはず。なのに大きいスポットサイズの時はフルエンスを下げるようにパラメーターに書いてある、なぜ?と疑問に感じたことはないでしょうか?

工学系の先生のお話では、レーザー光が皮膚に当たるとき反射や散乱による光エネルギーのロスが生じるとのことで、大きいスポットサイズの場合、中心部では光の散乱が小さくなって光の深達性が増し、結果的により高い効果が得られやすくなります。Ashらの論文にスポットサイズと深達度の相関を示す図が紹介されています。特に、10mm径くらいまでの大きさのスポットサイズでは影響が強く出るとのことです。

Ash C, Dubec M, Donne K, Bashford T. Effect of wavelength and beam width on penetration in light-tissue interaction using computational methods. Lasers Med Sci 2017;32(8):1909-1918.

臨床面(有効性)ではどうでしょうか?ロングパルスアレキサンドライトレーザーを用いた医療脱毛(ワキ、n=11)において、18mmスポットと12mmスポットの脱毛効果を同条件(フルエンス16J/cm2)で比較したところ、18mmスポット照射部位では、12mmスポット群よりも減毛率が10.3%高かったという結果を示しています。

Nouri K, Chen H, Saghari S, Ricotti Jr CA. Comparing 18- versus 12-mm spot size in hair removal using a Gentlease 755-nm alexandrite laser. Dermatologic Surg 2004;30:494–497.

スポットサイズの大きさの違いは、実際は安全面において問題となることがあるかと思います。大きいスポットサイズを用いて適正出力以上で照射した場合、熱傷や瘢痕化の問題につながりますので、臨床パラメーターの確認が重要になります。