レーザー波長による光深達度の違いは??

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今回はレーザー治療の基礎的なものをご紹介します。


皮膚レーザー治療で使われるレーザー光は、実際は入射時の反射や散乱、メラニン・ヘモグロビン・水分等の吸光度の影響を受けますので、有効深度は数ミリの範囲です。波長が長くなるほど皮膚深達性は高まり、波長1,090nmがピークで深さ3.5mmとなり、あとは水分への吸収が高まるため深達性は急激に浅くなります。

Bashkatov AN et al. Optical properties of human skin, subcutaneous and mucous tissues in the wavelength range from 400 to 2000 nm. J Phys D: Appl Phys 2005. 38 2543-2555.

また、可視光域の光では、特にメラニン・ヘモグロビンの吸光度を受けやすく、色素レーザー治療で用いられる波長域(577nm~600nm)の研究では、波長を577nmから585nmにわずか7nm長くするだけレーザーによる血管障害の深達度が0.5mmから1.2mmまで深くなったという報告もあります。

Tan OT et al. Action spectrum of vascular specific injury using pulsed irradiation. J Invest Dermatol 1989;92(6):868-71

深さ2~3㎜までの話となりますが、異なる波長を用いることで、その波長特性を生かした治療がより可能になると思われます。