皮膚レーザー治療でのパルススタッキング照射とは??

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ヴィーナスコンセプトジャパンの岩下です。レーザーの当て方についてです。

パルスダイレーザーによる皮膚の血管病変治療において、照射後の紫斑形成は患者さんにとって好ましくありませんが、対象血管を十分に熱凝固させるために必要なフルエンス及びパルス幅で照射した際、やはり紫斑形成を来すことがあるかと思います。これは、血管内の血液の温度が急激に上昇し、血管壁を破ってしまい血管外に漏出するからです。

レーザーがファイバーから照射される際、通常スポットは円形ですので、打ち漏れがないように10~20%ほど重ねて照射されるかと思います。このオーバーラップを50%位にして、紫斑形成を起こさない通常よりも弱めの出力にて血管収縮が確認できるまでレーザーを重ねて照射することで、紫斑形成を起こすことなく、安全かつ効果的な血管病変治療が可能というボストン大学皮膚科のRohrerらの報告があります。

Rohrer TE, Chatrath V, Iyengard V. Does pulse stacking improve the results of treatment with variable-pulse pulsed-dye lasers? Dermatol Surg 2004;30:163–167.

以降、レーザーを50%程度重ねて当てる方法をパルススタッキング法と呼ぶようになり、特に血管病変の治療例が多い欧米では1ショットで強く当てるよりもパルススタッキングさせる当て方のほうが紫斑を起こさずに安全で高い効果が得られるため主流となっているかと思います。

また、血管病変だけでなく、パルスダイレーザーによるスキンリジュビネーションでもパルススタッキング法が用いられ、美容目的に適用が拡大していった経緯があります。

Kono T, Groff WF, Sakurai H, Takeuchi M, Yamaki T, Soejima K, Nozaki M. Comparison Study of Intense Pulsed Light Versus a Long-Pulse Pulsed Dye Laser in the Treatment of Facial Skin Rejuvenation. Ann Plast Surg 2007;59(5):479-483.