レーザー波長によるメラニン吸収度の違いは??

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ヴィーナスコンセプトの岩下です。メラニン色素への吸光度についてです。

青アザやシミの皮膚レーザー治療、医療レーザー脱毛においては、レーザー光のメラニン色素への吸光度によって効果に違いが生じます。メラニン色素の吸光度は、レーザー光の波長が長くなるにつれ弱まり、波長1,100nmより長くなるとメラニン色素に反応しなくなります。

Anderson RR, Parrish JA. The optics of human skin. J Invest Dermatol 1981; 77: 13-19.

良く使われているアレキサンドライトレーザー(755nm)に比べ、ダイオードレーザー(800nm)ではメラニン吸光度が約2割減、Nd:YAGレーザー(1,064nm)ではアレキサンドライトレーザーの約1/3のメラニン吸光度となります。従いまして、メラニン色素に反応させようとする場合、波長の長いレーザーを用いる際はフルエンスを上げて治療する必要性が出てきます。

一方で、ルビーレーザー(694nm)ではアレキサンドライトレーザーよりも約3割メラニン吸収に優れ、Nd:YAGレーザーの半波長(532nm)では、アレキサンドライトレーザーの3.4倍もメラニン吸収度が高くなります。従いまして、フルエンスを低くしても十分にメラニン色素に反応する傾向があります。ただし、波長400nm~600nmの光は血液成分の酸化ヘモグロビンの吸光度も非常に高いため、特に波長532nmや595nmのレーザー光を用いてメラニン色素を対象とした治療を行う際は、適正なフルエンス設定が重要となります。

Tanghetti E, Jenning J. A Comparative Study With a 755nm Picosecond Alexandrite Laser With a Diffractive Lens Array and a 532nm/1,064nmNd:YAG With a Holographic Optic. Lasers Surg Med 2018; 50:37-44.