レーザー波長による水分の吸光度の違いは??

Image

ヴィーナスコンセプトの岩下です。今回は水分に対する波長の違いについてです。

可視光(波長800nm位まで)は水には全く吸収されないことが分かっています。
日常の皮膚科形成外科診療において最も良く用いられるのは炭酸ガスレーザーであると聞きますが、その効果効能が組織の蒸散ならびに凝固で便利だからと思われます。波長10,600nmの炭酸ガスレーザーの水分吸光係数はネオジウムヤグレーザー(波長1,064nm)の約1,000倍で、効率的に組織の蒸散を行うことができます。赤外線領域で最も水分への吸光係数が高いのはエルビウムヤグレーザー(波長2,940nm)で、炭酸ガスレーザーの約12.5倍です。YSGGレーザー(波長2,790nm)で、炭酸ガスレーザーの約5倍の水分吸光度があります。

Kaufman R, Hartman A, Hibst R. Cutting and skin-ablative properties of pulsed mid-infrared laser surgery. J Dermatol Surg Oncol 1994;20(2):112-8.

蒸散能が高すぎれば止血されにくく、蒸散能があまり高くないと凝固組織(焦げ)が残り、焦げにレーザーを照射し続けると、その周囲には不要な熱が及ぶことになり瘢痕化などの副作用のリスクが高まります。

また、この赤外線領域の光が水分に吸収されやすいという特性を生かして、IPL装置ではアプリケータ中に水を循環させフラッシュランプからの光を水に透過させ余分な赤外線波長をカットする技術も生かしています。